石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第四節 國學(上)

同時に津田政隣あり、文學の才に富み、精勵無比、初以來の諸家の記録を通覽して、その事蹟を抄録し、また自ら聞見する所を記して世に遺せり。史を研究するもの必ず之を讀まざるべからず。また富田景周あり。和漢の學を該ねて等身の書を著しゝが、就中國文によりて記されたるものには、雅文になでしこあり、教訓の書に下學老談あり、一世の名著越登賀三州志も亦通俗文を以てせられたり。湯淺祗庸も亦或は加賀藩に關する史實を輯め、或は職掌に關する沿革を編したるもの多し。蓋し加賀藩史學に於ける、文化・文政を以て前後無比の盛時となす。景周の歿後に生まれたる史家に森田柹園あり。終生營々として史の探討に沒頭し、著述の多きこと景周を凌駕し、研究の範圍と方法とに於いて亦一段の進歩を見る。柹園の後半生は遠く明治に及び、後の學者皆その餘慶を受く。