石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第四節 國學(上)

淺加久敬あり。和歌を善くし、古今の掌故に通じ、徒然草を讀み、古今の諸註を對比參校して、之を和漢の群籍に併せ稽へ、精を凝らし思を竭くして徒然草諸抄大成二十卷を作る。貞享五年成りて之を綱紀に上る。綱紀一閲して曰く、精は即ち精なりといへども何ぞ道義に裨益する所あらんや。且つ徒然草は全く兼好の獨力に成るにあらずして、今川了俊の編次に係るといふにあらずや。久敬惜しむらくは力を聖典に專らにせずしてこの俗書を愛すと。綱紀は時人と選を異にし、百般の學究めざるはなかりし人なり。而も彼にしてこの言ありしもの、以て當時の學風を見るに足る。