石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第三節 漢學(下)

江守長順、通稱左久馬、城陽と號し、釆地九十石を領す。幼にして努力衆に超え、古人寸陰を惜しむの語に感じて、夜間眠ること僅かに二刻、生を終ふるまで變ずることなかりき。曾て江戸に在りて佐藤一齋・大田元貞に學び、逸材を以て稱せらる。文政元年前田利之命じて世子利極の師たらしめ、天保九年利平復之を師とす。十一年會頭の職に任ぜられ、書院に在りて經史を講ず。弘化元年長順疾むや、利平特に近臣を遣して胴服と藥餌とを賜ひ、且つ懇命を傳ふ。蓋し異例に屬すといふ。此の年十二月歿す、享年五十五。長順人となり方正謹直、家人といへども晝間その箕座安臥せしを見ず、勤仕の暇唯几に憑りて書を讀むを樂しむ。著書頗る多かりしも、晩年皆火に投じて、僅かに十温一助・温古古義等を傳ふるのみ。
氿園
 不山莊稍踰期。幽庭光景異前時。交枝已見松三尺。帶蘚還知石一奇。風卷平田緑浪。雲歸遠嶺青螺。新詩未就閑移杖。蓮葉如錢泛小池