石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第三節 漢學(下)

津田鳳卿、通稱亮之助、字は邦儀、梧崗と號す。享和三年明倫堂講師加人となり、文化元年助教に擢でられ、文政五年書物奉行に任じて金谷文庫を管す。鳳卿乃ちその藏弃を整理して賞賜を受く。鳳卿和漢の書に於いて渉獵せざるなし。是を以て中の士庶、典故の明らかならざるものあれば就きて之を問ふ。鳳卿諄々として答へ、盡くさゞるものあれば討究日を重ね、之を得ざれば措かず。特に能く韓非子を讀み、韓非子解詁全書二十一卷を著す。其の他著書多し。曾て藩侯の命を奉じ、古文書を蒐集して汲古合編十二册となす。又能く史蹟を踏査し、遊三國嶺記・掠部考古遊記・笠岡御遊記・大野郷訪古遊記・遊梅田洞記・蟹谷郷遊記・石川訪古遊記あり。又前田齊廣の時渡邊栗長井在寛と共に命を受けて皇朝百代通略の編纂に從事す。齊泰の時に及んで略成る。今稿本百餘册あり。然りといへども詩はその本領にあらず。弘化四年四月廿五日齢六十九を以て歿す。
退筆家之銘
 大漢畫功臣乎麒麟。有唐圖名將乎凌煙。皆所以示其有功而沒世不忘也。臨池家於筆研也。亦猶如斯乎。龍山安田先生。書名傳家。螢雪廿年密勿不措。乙亥適持明藤公。盡其訣而歸。又溯稽晋唐之跡。心嚮甚高。遠近請門閣榜者。率無虚歳。於古祠名藍題署略遍。如加州一宮。小丸山神明。小坂神田祠。梅林玉泉感應聖廟。卯辰普門殿。石浦慈光。八坂妙義。來教金毘羅榜。可以觀其心畫遒美也。頃者門人收其退筆。而封之于龍山之麓。窃比之麒麟之跡。來請予銘。予曰有心哉其爲之乎。非咎犯臨河之言而然也。又使先生親見虞永興之所爲矣。嘗聞前後及門者三千二百餘人。今乃參與斯擧者。可善體先生之心。而克續古之人也 乃銘曰。
  秇苑奉職。汝與有功。吾欽舊徳就封東域。龍山連嶷。千秋可式。