石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第三節 漢學(下)

富田好禮、通稱彦左衞門、字は苟美、春郭と號す。學問精緻にして詩亦奇雋多し。前田重教監國の時重用せられて祿八百石を増し二千石を領せしが、その卒後罪を獲、獄中秋懷七律八首を賦す。指頭を噛み血を以て之を書し、字々悽慘の氣あり。後謫せられて越中五箇山に在ること三十五年。其の間著す所、論語餘訓四卷・政則十卷・詩數百首あり。文政四年冬赦に値ひて家に歸る。時に年七十五にして、鬢髮盡く白かりき。六年四月七日歿。
謫居閑作
 環堵蕭條弊葛巾。茶鐺觱沸未全貧。常餐草具隨淳朴。老去讀書靜葆眞。那羨權豪通炙手。獨安久約一閑人。升沈已定宜命。謫處孤窮善此身