石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第三節 漢學(下)

前田利常は天資豪邁、常に儒生の訓詁の末に拘泥するを嘲笑し、自ら咄衆なる者を左右に侍せしめ、彼等の經歴せる所を語らしめて治國の參考に供し、又小瀬道喜京師より招きて之を祿し、大坂の役・天草の亂相踵ぎて未だ文藝を談るの餘暇なきに拘らず、尚能く太平記・吾妻鏡を讀みて古今の治亂成敗の跡を究めたりき。利常又古筆を愛し、圖籍の蒐集に志あり。嘗て海舶一隻載する所の書悉く之を購ひしことあり。