石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第二節 漢學(上)

富田景周は博覽強識にして、その學和漢に亙り、その才古今を該ね、最も歴史に精通す。景周の文は濫りに典故を驅使し、難解の熟語を累積して、以て博宏を衒ふの風ありといへども、而も條理暢達、微を柝き細を穿つに至りては實に前後に比を見ず。故に自ら傲然として一世を脾睨し、他の詩弊を指摘し、雌黄自ら高うすといへども、己の作るところ亦その尤むる所に類するものなきにあらず。彼の弟好禮春郭、彼の子景煥鶴坡に在りては、また籍を當時の詞壇に措くといへども、陋劣殆ど見るに足らず。