石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第二節 漢學(上)

戰國時代以前に於ける加賀・能登二國の文學は、學者文人の徂徠と共に移動せるものなるが故に、地方特有の精華として見るべきものにあらざりしが、前田氏の治を施くに及び、初めて土地固有の文學あるを見得るに至れり。而してそのこゝに至れる所以は決して偶然に起れるにあらず。蓋し明主賢佐の位に備るありて、碩學大儒を封外より招聘し、以て種子を播布せしめ、遂に萠芽の發育を見、枝葉の繁茂を來すに至りしなり。本節先づ加賀藩に於ける漢學傳播の次第に就きて略述する所あらんとす。