石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第三章 學事宗教

第一節 學校

時習館に於いては、士分の子弟十歳より十六歳まで偶日毎に經書を學習せしめ、之を温讀と稱す。温讀は孝經・大學中庸論語・詩經・書經・禮記・易經の順序により、漸次に上級に編入す。温讀を終りたる者は春秋二季に試驗を施行せられ、之に及第すれば常誦讀となる。常誦讀となりたる時は、孟子・小學・春秋左氏傳・二十一史を成るべく温讀年齡内に修了せしむ。温讀は句讀師教授の任に當り、常誦讀は會頭或は助教之を教授し、朝五ッ半に始業して四ッ半に終り、その後半刻間禮式師範に就きて諸禮を習はしむ。十六歳より二十歳に至るまでは、毎月三次朝四ッ時より九ッ時に至るまで孟子・小學・春秋左氏傳の素讀を爲し、併せて講義を聞かしむ。その學力劣等のものは句讀師之を教授し、普通以上のものは會頭・助教之を教ふ。又毎月三次、午前には會頭四書の講義を爲し、午後には助教五經を講ず。試業は春秋二回之を行ひ、藩侯在國の時は自ら之に臨み、否らざれば老臣をして代らしめ、生徒一統に賞品を授くるを例とす。藩士中特に俊髦と認められたる者は、命によりて江戸又は京都遊學せしめらるゝことあり。後醫學・蘭學も亦之を教授す。學校の職員は、事務員に主附二人(家老)・用係二人(頭分)・目附役四人(平士)・留書役三人(歩士)・雜役六人(足輕)あり。教員に會頭二人(頭役)・示談相手二人(頭役)・助教四人(平士)・句讀師約二十人(平士)・躾方師範三人(平士)ありき。