石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第二章 儀式慣習

第二節 風俗

藤内は一に籠屋(カゴヤ)・掃除之者又は隱亡ともいひ、非人頭も亦これより出づ。その郡村を巡回する時には藤内といひ、武家及び町方に至りて祀儀の米錢を乞ふ時は籠屋といひ、公事場及び町會所にて藩用を勤むる時には掃除之者と呼ばれ、死人を取扱ふ時には隱亡といはる。穢多一名革多も藤内と同種なるが如く目せらるゝことあるも、こは獸を屠り皮を剥ぐを業とするものにして、自ら差別あり。城下の郊外に藤内頭仁藏と三右衞門とあり。加賀・能登二國に亙る藤内を統ぶ。藤内寶暦中に於いて千戸を數へたりといひ、その職務は、公事場・算用場・町會所に於ける囚人に關する事を掌り、或は廻藤内といひて郡村を巡回して非人を監督し、犯罪の嫌疑あるものを捕へ、之が報酬として村々より草高の割合に應じて米・麥・大唐などを受け、通常家業として燈心・草履等を製し、海濱に在りては漁業に從事し、又は請作を爲し、死者を荼毘に附す。