石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第二章 儀式慣習

第二節 風俗

十一月八日を鞴祭とし、鍛冶・鑄物師・飾職など業を休みて酒宴を催す。九日は山祭にして、大工・指物師・木挽・材木商又は農家にして林業を兼ぬるものなど、業を休みて山神を祭り、各山に入るを戒む。十三日、塗師職のもの粉糞祭を營む。粉糞は漆器榡材の合はせ目・割れ目などを塞ぐ材料なり。二十二日より二十八日まで、東西本願寺別院に報恩講を營み、近郷近在より群參して殿賑を極む。三十日を宇賀祭とも稻荷祭とも稱す。信仰者は稻荷神祉に詣でゝ赤飯と揚豆腐とを献げ、又は之を自家の屋上に置きて稻荷神に供ふ。この月中旬、切米取の足輕等に本年九月より十二月に至るまでの給米を與ふ。當月の内に諸橋・波吉兩大夫の勸進能あり。又冬至に當る日には、醫師・藥種商等神農祭を營みて酒宴を張る。この頃男子の非人にして、菅笠の裏に竹枝を挿みたるを戴き、紅木綿の覆面を爲し、襟に茜木綿を掛けたるを着て錢を乞ふものあり。之を節季候と稱し、多く二人相伴ふを常とす。