石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第二章 儀式慣習

第二節 風俗

正月七日七草の祝儀を行ふ。七種とは元來菘(スヾナ)・蘿蔔(スヾシロ)・芹・薺・鼠麹(ゴギヤウ)・蘩蔞(ハコベラ)・佛座のことにして・他地方にては多く略して薺・蕪菜を用ふるを、こゝには芹のみを用ふ。芹は之を盤上に載せ、盤は更に桶の上に置きて音響を大ならしむべく裝置し、惠方に向ひ棒を以て打叩きながら、『なん〱七草なづな、ちやうどの鳥を、日本の鳥と渡らぬ先に、かち合はいてぼと〱、かち合はいてぼと〱。』と繰返して唱ふ。この唱句は、『唐土の鳥が、日本の土地へ渡らぬ先に、薺七草囃して云々。』といふべきものゝ轉訛したるなりといふ。唐土の鳥の鬼車鳥を意味することは言ふまでもなし。この日、士家の少年・若黨等未明に起床し、上下を着けて七草を囃したる後、その芹を餠と共にに混じて食ひ、以て萬病を除くの藥餌となす。七草是なり。