石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第一章 制度法規

第三節 司法

生命刑に當る者にして財産を提供し罪を贖ふものに首代銀あり。又首代錢とも稱せらる。寛永二十年能登子引負の爲法に觸るゝ者ありしが、その父金錢を納めて助命を得んことを乞へり。是に於いて藩侯は、彼れ素より死に當るといへども、恰も公子の出生に會するを以て、將來を懲らして放還すべしとなし、乃ち犯罪者の鼻を斷ち、二貫目を三次に分かちて上納せしめたりしは、その一例なり。正保四年士人小者江戸を遁れて郷里に潜匿せしに、かくの如きはその主人をして成敗せしむるを例とせりといへども、犯人が百姓なるを以て首代銀を提供せしめて助命せしことあり。後此等の前例に基づき、養父たる足輕にして罪を犯し、その子の同座せざるべからざる場合には、首代銀を以て償ひ得べしとするの特例を設けたりき。