石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第一章 制度法規

第三節 司法

凡そ寛文以前に在りて、物を盜みたる者は、その加害の程度如何に拘らず死刑に處するの例なりしが、罪状の非常に輕微なる場合に在りては、時に減刑せらるゝことも亦無きにあらざりき。例へば、寛文八年藩士大原五郎左衞門の鑓持茂助といふもの、馬糧の大豆及び柴を盜みたること發覺したるを以て、主人の許にて斬刑に處せんことを出願せることあり。公事場奉行即ち之を藩侯に上申せしに、窃盜死刑に當ることは古來定まれりといへども、此の如きは微罪なるが故に、寧ろ耳鼻切に處したる後追放するを可とすと指令せられたるが如きもの即ち是なり。此等疵付追放となりたる小賊にして、再び封内に入り窃盜を爲したる時は、固より直に死刑に處せられ、封内に入るも罪を犯さゞるときは再び追放し、若し赦に會したるときは特に宥免せらるゝことありき。