石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第一章 制度法規

第三節 司法

叙上各別の中、その甚だしく慘酷なるものは、前田綱紀の中期元祿の頃より、全く行はれざるに至れり。後に前田齊泰の時奧村榮實の上りたる言上書の中に、『既に松雲院(綱紀)樣御代にさへ、御末年に至候ては、御刑法次第に緩く相成候由之被仰出も御座候。』といへるは、國政の紀綱を振張し、刑律を嚴明にせざるべからざる所以を説きて、綱紀が所刑の緩大となるを喜ばざりし例を引用するに外ならずといへども、兎にも角にも慘刑の除かれ、判決の輕易に就けるは事實にして、泰平の象四海に磅礴たりしこの時に方りでは、實に當然の趨勢たりしなり。されば是より後に在りては、生命刑の種類も梟首生胴・斬等に限定せられ、自由刑及び財産刑に關する法制亦大に整備するに至りたりき。