石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第一章 制度法規

第三節 司法

庶民の間に起れる犯罪は、その輕きは町奉行又は郡奉行直に之を處分し、重きは町奉行に屬する町會所の牢屋に於いて拘禁し、又郡奉行の所管に屬するものは町會所の牢若しくは川下牢屋に假に収容し、各その白洲に於いて豫審を終へたる後、公事場の牢に轉送して公事場奉行裁判に委す。盜賊改方の檢擧せるものも、初は亦豫審の後公事場に致すを常とせりといへども、後には概ね川下牢屋に於いて刑を執行することゝなりしかば、文政七年二月公事場に送附するを要する罪種を規定せり。川下牢屋と稱するは、盜賊改方奉行の所管にして、その配下が捕縳したるものを收容する所とし、犀川の下流石川郡向増泉なる藤内頭仁藏の邸地に設け、之が監視を仁藏・三右衞門の二人に委任せしものなり。故に又仁藏の牢屋とも稱し、牢番人は藤内之に當る。盜賊改方奉行は、元祿四年二月の創設に係るといへば、川下牢屋も亦その頃より起りしなるべし。