石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第一章 制度法規

第二節 祿制

夫銀も亦給人所得の一にして、初め夫錢といへり。前田利家就封の後、印書を領内に下し、丁夫を徴して土功又は力役に當らしめ、之を村役平夫といひしかば、給人も亦之に倣へり。慶長十四年前田利長新たに越中高岡に築くや、多く郡夫を用ふといふ。郡夫もまた平夫、又は夫丸と記さるゝものに同じ。是に於いて百姓その農事を妨ぐるを憂へ、錢を以て代へんことを請ひしに、遂に侯の廳許する所となり、明年以降夫錢を出すの制に改めたりき。然るに金澤に在りては猶徴發を續行したりしが故に、百姓僻遠より來りて平夫に就くを要し、その煩勞少からざるを訴ふるものあり。因りて元和三年正月十一日城中の詰夫二百五十人・他國夫、其の他薪炭糠藁等の物件を徴したるを廢し、爾後定納百石に對し夫銀百四十目を課し、之を二分して春三月秋九月に進納せしむることゝせり。その給人知に係る者は給人の居邸に輸さしむ。春秋夫銀と稱するもの即ち是なり。葢し夫銀の額は、定納百石に對し五石に當るものにして、當時一石の價二十八匁なりしより算出せしなり。故に前に言へるが如く、知行百石にして定納三十九石五斗を收むる者は、夫銀五十五匁三分を得べし。寛永八年、若し丁夫を使役することあらば、一日七分を與ふべしと定め、次いで正保二年、夫銀を滯納するものは、三ヶ月毎に二割の利息を加ふべしとの令あり。又能美郡河原山村及び越中の數ヶ所には、夫銀を徴せざる特別の慣習ありき。
三ヶ國諸役御赦免之事
 一、二百五十人、御城詰夫之事。
 一、他國夫之事。但御國役並宿送等之儀は、前々より如有來たるべき事。
 一、他國へ傳馬被遣事。但宿送之儀は、前々より如有來たるべき事。
 一、薪錢之事。但給人知共に。
 一、炭之事。同。
 一、鍛冶炭之事。同。
 一、御鷹餌・犬之事。同。當年三月中迄は舊冬より御割符有之事。
 一、御馬糠之事。
 一、御馬藁之事。
 一、御馬草之事。
 一、御疊うらこもの事。
 一、むしろの事。
 一、こもの事。
 一、繩之事。
 一、御遣わらの事。
 一、能州御國役上鹽之事。御給人知共。但鹽がま御年貢鹽之外たるべき事。
 一、能州柵木之事。同。
 一、うすあした役人之事。同。
 一、ころ木之事。同。
 一、なるの事。同。
 一、桑役之事。同。
 一、箸木之事。同。
 一、雪こすきの事。同。
 一、鍬がらの事。同。
 一、しぶかきの事。同。
 一、山椒・わらび・芋・芋のくき・山のいも・うど・すゝ竹・青梅・蓮の葉・よもぎ・しやうぶ・ぬかご・わさび・ち草・かや・まめ以下之事。御給人知共。
 右條々從當年何も被赦免乏旨被仰出候。然間御公領所物成高百石に付而、夫錢並爲小役料子百四十目宛、四歩米相加可之。然者春中に半分、秋中に半分、兩度に可指上候。但去年迄之御割符之物數、未進於之者、早速可相濟候。如此被仰出御諚之旨、諸代官中に具に可申渡者也。
    元和三年正月十一日                  横 山 山 城 守
                               本 多 安 房 守
      三 輪 志 摩 守
      小 塚 淡 路 守
      駒  井  中  務
〔慶長以來御定書〕

役料知及び加増知印物(竪紙) 金澤市渡部惟清氏藏

 
 

新知及び遺知相續判物(折紙) 金澤市渡部惟清氏藏