石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第三編

第一章 制度法規

第一節 職制

坊主は殿中に於ける使价の徒なり。服裝は袴を穿たずして羽織を着、小刀一腰を帶し、剃髮す。唯御坊主頭のみは兩刀を帶し、束髮を許さるといへども、その多くは老年にして既に禿頭なるを以て、附髮を作り鬢附油にて定着せしむ。御坊主俸祿は普通二十俵とし、御坊主小頭は四十俵三人扶持とす。御坊主にして束髮を命ぜられたるは、前田綱紀の時松尾といふものありしに起り、享保八年前田吉徳の時、大槻朝元も亦束髮を命ぜられしことあり。但し末に在りては、御坊主頭に附髮のものありたるのみ。八家の中本多氏長氏とに、小坊主と稱して束髮せるものありしは、束髮坊主の遺風なるべしといはる。御坊主中茶道に關する事務を掌るを御茶堂といひ、御茶道の義なり。又御茶堂頭あり、御坊主頭と共に平士並に待遇を受く。