石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第六章 大聖寺藩治一斑

利鬯江戸に在ること既に久しく、應に國に就かんとせし時京師及び常野の騷擾あるに際したるを以て、尚その地に留りしが、九月一日幕府は文久二年の新典を廢し、諸侯伯をして參觀交代し、及び妻子を江戸に置かしむるの制を復せり。利鬯乃ち例に照らし明年會同せんことを約して一たび罷め歸らんことを請ひしも、幕府は之を許さずして加賀齊泰出府と相交替せしめんとせり。利鬯因りて齊泰の病容易に治癒すべからず、且つ北地の道路將に降雪の爲に梗塞せんとするを以て敢へて歸國を許されんことを求めしに、幕府已むを得ずして暇を與へたりき。利鬯十月朔日を以て江戸を發し、越後青海に至りしに風浪の爲に阻まるゝこと十二日、二十八日金澤に達し、十一月二日大聖寺に入れり。