石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第五章 加賀藩治終末期

第九節 版籍奉還

四月二十二日天皇大に公卿列侯を會し、詔して國是を定め國運發展の基礎を確立するの方法を諮謁し給ひしに、慶寧もまた入朝して之に與り、五月四日上表して意見を應へ奉れり。その書に曰く、曩者詔命を下して、國是を定め基礎を確立するの方法を垂問し給へり。是を以て臣慶寧蒙昧を顧みず、聊か献芹の微衷を呈し奉らんと欲す。恭しく惟るに、中古以來政權武門に移り、國内封建の態を備ふるに至りしが、今や再び皇上の親政を見るに至りしもの、實に千載の盛事なりといふべく、この際須く古の郡縣に復し以て大に朝威を更張せざるべからず。而もその名稱慣例の如きは固より深く拘泥するの必要なきが故に、宜しく古今の變革を詳かにし、天の時に順ひ人の情に適せしめ、海外萬國に耻ぢざる最善の制度を興し、以て國家の洪基を立つべし。その經營に關する諸件に至りては、公議衆論を盡くし聖斷を以て之を施行し給はゞ、必ずや大成近きに在るべきなりと。