石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第五章 加賀藩治終末期

第七節 北越戰爭

この戰、加賀藩の炮隊物頭水上喜八郎は、その一番炮を左方の小徑に据ゑて攻撃したるに、敵も亦炮一門を海岸に置きて應射し、分隊司令役橋本一之進は爲に銃創を得たり。因りて水上隊の炮を前面の凹地に進めて狙撃せしに、一彈能く命中して敵地を破壞するの奇功を奏したりといへども、彈丸全く盡きたるを以て一たび村端に退却し、更に二番炮・三番炮と共に猛襲せしが、偶薩は炮五門を運び來り、水上隊の戰勞を犒ひてこれに代らんことを求めたりき。一番炮乃ち右方に轉じて山上の敵に對し、二番炮と三番炮とは海岸に轉出し、遂に敵をしてその陣地を棄てゝ柏崎に逃走せしめ、夕六半時に至りて諸隊皆青海川の本營に入れり。而して敵も亦損害の過大なりしに堪へず、二十八日柏崎の陣を撤し退きて妙法寺を固守したりき。