石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第五章 加賀藩治終末期

第四節 元治の變

大城戸長兵衞、諱は宗守、耕巖齋と號す。祖父耕鐵齋の時より鶴來に住して賈人たり。長兵衞夙に王室の式微を慨し、嘉永以降京師に來往し、自ら姓名を變じて四方の志士と交れり。長兵衞、淺野屋佐平と從兄弟たり。元治中佐平の捕へらるゝや、長兵衞自ら炕を撃ち、應答の翰牘・日記其の他吟咏書畫苟も志士の筆に成るものを焚き、敢へて斷簡零紙を留めず。之に由りてその難を免るゝことを得たり。明治六年十二月四日年六十四を以て歿す。大正八年五月十七日朝廷特旨を以て長兵衞に從五位を贈り給ひき。