石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第五章 加賀藩治終末期

第四節 元治の變

小川幸三石黒圭三郎谷村直の三人は、金澤を發したる後、海津に至りて青木新三郎等と宿舍を共にしたりしが、大野木源藏の復命を聞くに及び、慶寧の亟かに歸藩し得ざるべきを察し、先づ歸路に就きて越前木芽峠に至りしに、山森權太郎等の再び海津に向かはんとするに會せり。是より先幸三等の海津に在るや、薩摩・越前慶寧を追撃せんとすとの風聞を得たりしを以て、幸三等は府中に留りて暫く密偵に從ひたりき。然るにこの時は幸三等三人を縳するに決したるを以て捕卒を派遣したりしが、彼等の府中に達するに及び幸三等がこの地に留れるを知り、先づ府中の吏に牒して助力を求め、幸三等の旅舘を圍みたる後藩侯の命を傳へたりしに、幸三等敢へて抗せず、檻輿に乘じて金澤に護送せられき。乃ち幸三と圭三郎とを各その家にし、直を公事場の獄に繋ぎしが、後幸三も亦公事場に移されたり。