石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第五章 加賀藩治終末期

第四節 元治の變

是の月浪士の輩飛騨に聚合して事を謀らんとすと傳ふる者あり。乃ち飛騨が我が領境と相接するを以て、九月福岡惣助に命じて之を探らしめき。惣助は飛騨に入りしも全くその事實を認めざりしかば、直に海内の形勢を視察せんと欲し、姓を變して日下といひ、潛行して美濃に出で、大垣老臣小原仁兵衞を訪ひ、又その書を得て京師に入り、江馬天江等の家に匿れ、本山七郎・宮部鼎等の志士と會し、彼等の紹介によりて有栖川宮熾仁親王に内謁し、詳かに政界の情實を得て歸藩せり。然るに惣助の爲しゝ所忽ち露はれ、許可を得ずして擅に行動したりとの罪により、その家に幽閉せられたりき。惣助乃ち見聞を記し、從弟福岡文平によりて家老青山將監悳次に致し、將監は又慶寧に上れり。是に因りて慶寧長藩の所爲を正義なりと考へ、將來之と策應して大に王事に盡瘁する所あらんと決意するに至れり。