石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第四章 加賀藩治停頓期

第五節 社會種々相

加賀に於ける謠曲註釋書の第二を、佐久間寛臺の著なる謠言粗志四十二卷となす。その内篇二十册は文化六年五月に成り、外篇二十二册は同九年六月に竣る。

 謠言粗志内外貳百拾番、全篇四十二册、予多年以單孤之微力述之畢。然處不圖達御聽差上之旨被仰出、則文化六年己巳五月、内篇二十册、以御用部屋頭戸田與一郎之。同九年壬午六月、外篇二十二册、以人見吉左衞門之所、於校書舘書寫被仰付、御文庫藏書相成。同十一年甲戊十二月、原本全篇被返下之節、以來猥地貸、但有懇望執心之者、則其名書を以可窺之旨、以關屋中務仰出候。因茲以來加家藏之重器、永代納之庫中子孫君命、竪可之者也。
    文化十四年強圉赤奮若林鐘念五日佐久間五郎平寛臺謹誌
〔謠言粗志箱書〕
この書の成れる所以亦自ら明らかなり。是に至りて謠曲内外二百十番の註釋悉く備る。葢し能樂隆盛の世なればこそ、寳生流優勢の加賀なればこそ、かゝる著述もありしなれ。後謠言粗志脱漏三卷あり、一に謠言粗志拾遺と題せらる。その著者を記さずといへども亦寛臺の爲す所ならん。次いで天保二年老臣村井長道は家臣澁谷重武・河合良温・勝木元直に命じ、寛臺の失考を正して謠言粗志訂補四卷を作らしめき。

佐久間寛臺謠言粗志自筆本 金澤市佐久間啓太郎氏藏