石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第四章 加賀藩治停頓期

第四節 教諭政治

齊廣人と爲り頴敏にして勤勉、仁恕にして嚴肅、弱冠より有爲の志を抱き、終始一貫して士氣民風を振興するに努力せり。然れども治績を擧げんと欲するの念太だ急に過ぎたるを以て、一時の顯達を希ふもの功利の説を進め、爲に聰明を蔽ひしこと亦これなきにあらず。但し彼等の試用せらるゝに及びては、齊廣之を責むるに速かに實功を收むべきを以てせしが故に、たとひ僥倖を得たる者も久しくその職に止る能はざりき。齊廣晩年に及びて大に世事に長け、その嘗て施設したりし所當を得ざりしもの多きを悟り、更に新たに治安の策を建て、一書を著して猩鸚鄙言といへり。是を以て老臣以下、齊廣の爲に擢用せられたる三老三才の如き、皆宵肝の勞を辭せざりしに拘らず、治績の大に見るべきものなかりしといへども、一時人心をして緊張せしめたる功は決して尠からざりしなり。