石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第四章 加賀藩治停頓期

第四節 教諭政治

是を以てこの後に於いては、齊廣の教を下して風紀の振肅を計らんとすること益急を加へたりき。即ち文化七年十一月には齊廣諸頭役に告げて、延寳中曾祖父綱紀教養の途を立て、諸頭役に示すに訓戒の言を以てせしより、世々相承けて今に至るまで百有餘年を經たり。然るに歳月の久しき人情世態共に菲薄にして偸安奢侈風を爲し、或は國家の常法を遺忘してその源に歸るを知らざるに至らんとす。今より以往卿等祖宗の法を確守し子弟を鼓舞し、文學武技を研修し風俗の頽廢を救ひ、以て淳朴の良習を失ふこと勿れといひ、文政元年九月にも同じく教を下して、太平の久しき上下奢侈に溺れ、繁褥を以て禮となし、互に競進して返るを忘る。是を以て今や君臣共にこの濁流を脱する能はずして、風を移し俗を易ふること頗る難きに至れり。されば諸事悉く質素簡易に從ひ、封内の黔首をして各その所を得しむるに努めざるべからずといへり。