石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第四章 加賀藩治停頓期

第三節 風教作振

寛政六年治脩孝子四郎右衞門兄弟を旌賞す。四郎右衞門は珠洲郡雲津の人にして、弟總右衞門と共に孝友力田を以て名ありき。父先に歿せしかば、四郎右衞門朝夕妻子を率ゐて母を定省し、然る後内佛に詣拜するを常とせり。總右衞門は叔父に養はれて嗣となりしが、亦能く義父母に事へ、義父母の歿したる後は日に生母の安を問ひ、美味を得れば必ず趨りてこれを饋れり。かくて兄弟の友愛極めて厚く、薙睦風を爲し家に違言なかりしかば、郷閭の父老その子弟を教ふるとき毎に四郎右衞門兄弟を擧げて之を稱し、鄰里亦爲に薫化せられ力田を以て産を興しゝ者尠からざりき。是に於いては四郎右衞門兄弟に各一人扶持を賞賜せり。