石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第四章 加賀藩治停頓期

第三節 風教作振

忠僕與助石川郡高尾村の農伊助の奴なり。伊助の事に座して金澤の獄に繋がるゝや、與助甚だ之を憂へたりしが、幾くもなく伊助の病に罹りたるを聞きて自ら獄に赴き、主人に代りせられ以てその病を療せしめんことを請ひ、痛哭して去るを肯んぜざりしかば、藩吏その忠誠を嘉賞し、特に伊助を出して藥餌を服せしめき。後數月にして伊助の疾略癒えしを以て復入獄を命ぜられしに、與助は更に獄中に隨ひて看護に當らんことを請ひしも、は國法の許さゞるを諭して許さず。後期に滿たずして伊助の罪を宥されたるは、與助の忠誠を嘉せられたるに由るといふ。