石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第四章 加賀藩治停頓期

第三節 風教作振

金澤の工匠多助の子に仁太郎といふ者ありしが、幼にして至性ありき。寛政元年夏父事に座して獄に下りしに、仁太郎は之を嘆じ殆ど寢食を廢せり。既にして多助疾に罹りしかば、仁太郎は日々八幡社に詣でゝその快癒を祈り、翌二年獄に至りて父に代り繋がれんことを請へり。藩吏因りて状を具して以聞せしに、特に多功を釋放し、仁太郎に米若干苞を賜へり。