石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第四章 加賀藩治停頓期

第二節 財政逼迫

宗辰の後を受けたる重凞も亦同じく節儉を勸め、自ら綿衣を用ひて範を示し、延享四年群臣に命じて之に倣はしめき。而もかくの如き消極施設は、經濟界の根本的革新の爲に何等の効を奏せざりしのみならず、時弊滔々として上下に浸染し、藩侯の號令すら頗る徹底せざりしことは、寛延三年十月二十八日重凞の訓諭に、我が士風が日に月に消耗廢頽するを歎き、自暴自棄の徒多く佚遊宴樂を事とし、甚だしきは猥言汚行を憚ることなく、國に法あり家に耻あるを知らざるものあり。此の如きは累世の勳舊たりといふとも尚之を嚴罰に處せざるべからず。而も敢へて之を罰するは余の情に忍びざる所なるを以て、今より後須く舊染を改め、奢侈を除き勤儉質實を旨として、各その世を永くせざるべからずと言へるを以て之を知るべきなり。