石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第四章 加賀藩治停頓期

第二節 財政逼迫

是時に當りて大槻朝元漸く出頭し、遂にはの政柄を掌握するに至りて、歴世獅子の土藏に秘藏せられたる軍用の金を賣拂ひたりとの非難さへ得たりといへども、そは財政の状態が、實に此くの如き手段を擇ばざるべからざるに至りしが爲にして、朝元ありしに因りて特に紊亂を招きたりとは認むること能はず。彼の財政政策は寧ろ極端なる消極のものにして、大組・中組に屬する足輕が放銃を專門とする職にして、徒らに硝藥をのみ費す不生産的のものなるを憂へ、彼等をして門衞を兼務せしむることをさへ敢行したりしなり。而も太平に狃れ、奢侈に趨き、收支の平衡を失ひて歩一歩益困厄に陷りしは、當時海内の諸侯に通じたる情勢にして、獨朝元をのみ責むべきにはあらざりしなり。