石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第三章 加賀藩治恢弘期

第四節 極盛極治

かくて一代の豪奢を極めたる盛宴は終れり。この日將軍の本郷邸に入りしは晝九前にして、その還りしは七半なりしといへば、その間實に今の五時間餘に過ぎず。而して爲に失ひたる費用と勞力との如何に多大なりしかを顧みれば、當に呆然たらざるを得ざりしなるべし。されば藩士有澤永貞の手記にこの日の事を記したる後、『いと疲て早く臥す。舊臘よりして今日の御用意のみ。其しるし只一時に事つきぬ。』といへるは、實に萬人の言はんと欲する所を盡くしゝなり。但し事後の饗宴は尚久しきに亙り、幕府の老中以下を招請して將軍台臨の無事に終りたるを祝すること數十回に及び、閏八月に至りて綱紀は國に就けり。