石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第三章 加賀藩治恢弘期

第二節 前田利常の監國

利常人と爲り聰慧機敏、才略衆に超ゆ。元和鞬櫜の後、利常心を政治に用ひ、最も農制を重んず。故にその創定する所、後世皆之に率由して利便多く、藩吏或は少しく之を改めんとする者ある時は、農民爭ひてその遺法を株守せんと希へり。利常亦能く農民を愛せり。明暦二年十月、利常能美郡今江の民二十口に衣食を給し、越中新川郡船見野に移して開墾に從はしめしが、遣るに臨み利常之を庭上に延き、親しく恩言を與へしかば、民皆感泣して退けり。後彼等の船見野に一聚落を作るに及び、故郷の名に取りて同じく今江村といひ、毎月十二日利常を祀るを例とせり。