石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第三章 加賀藩治恢弘期

第二節 前田利常の監國

又堀作兵衞善勝あり。祿百石。嘗て城中に能樂の催ありし時、横目永原大軍輿に乘じて登城し、兒小姓某次ぎて至りしが、兒小姓に從へる若黨は、大學の年尚少きを蔑視し、その輿を排して先行せんとせり。作兵衞之を見て憤り、若黨の面を撲ちて之を懲らしゝかば、若黨は次日作兵衞の家に至り害を加へんとせしも、衆の妨ぐる所となりて遂に果す能はざりき。後作兵衞之を侯に以聞せしに、利常は若黨の非行を咎めて死を賜へり。作兵衞大に喜び、必ず君恩に報ぜんことを期したりしが、侯の薨ずるに及びて之に殉じたりき。享年八十。