石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第三章 加賀藩治恢弘期

第二節 前田利常の監國

原三郎左衞門といふ者あり。初め太左衞門に子養せられて、三十人者たりき。三郎左衞門の實父は成敗を命ぜられたる者の子たりしを以て、彼は太左衞門の遺跡を襲ぎて士分たり得ざるかの疑ありしが、利常は三郎左衞門が久しく手廻りとして勤仕せしものなるを以て毫も支障あらずとなし、養父の歿後その祿二百五十石を賜へり。三郎左衞門、笹田勘左衞門に語りていふ、侯の高恩終生忘るべからず、他日事あらば必ず生命を捧げんと。是に至りて侯に殉ぜり。