石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第三章 加賀藩治恢弘期

第二節 前田利常の監國

利常の薨ずるや、その近臣にして之に殉じたるもの五人に及べり。蓋し江戸時代殉死の最も盛に行はれたるは、元和寛永より萬治・寛文に至る間にして、諸侯の死するものあるときは、家臣必ず之に隨ふものあり。殉死する者なければ名君にあらず、殉死せざれば良臣にあらざるが如く考へらるゝの陋習をすら生じたりしを以て、寛文三年幕府は嚴に法を布きて之を禁じたりき。されば加賀藩に在りても、光高利常二侯の時に殉死の行はれたるは、實に海内の風潮に隨ひたる現象たりしなり。