石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第三章 加賀藩治恢弘期

第一節 三藩鼎立

既にして光高の葬儀終るや、淺井源右衞門一政は殉死したりき。一政も亦光高保傅の一人として、晝夜その側を離れざりしものなるが、侯の遠逝を見て悲痛に堪ふる能はずとなし、遂に屠腹するに至りしなり。又小篠善四郎といふものありて、侯の飼禽を管する小吏なりき。善四郎嘗て同僚村雲次郎助と爭ひて之を斬り、自らその罪の死に當るべきを測りしに、光高の裁斷するに及び敢へて之を罰することなかりしかば、善四郎は侯の寛宥を悦び、他日侯百歳の後、若し之に殉ずるの臣あらば、余は必ずその人に倣ぶべしと誓へり。是を以て一政の死を聞くや、善四郎は直に之に次ぎしなり。その他高澤織部・落合勘解由・武部九藏・磯松左内・水野勘兵衞は髮を削りて緇衣を被り、侯の菩提を弔せんが爲巨刹靈佛巡拜の途に上れり。