石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第二章 加賀藩治創始期

第九節 金澤城及び城下

次いで寛永二年金澤市區改正あり。八年の回祿によりて又少しく變更し、十二年の後に至りては更に大に町割を改めたりき。金屋町を後の下材木町より淺野川の北方に移し、紺屋町を後の上材木町に移しゝもこの時にあり。凡そ市内の宅地は、その性質に從ひて武士町・町地・郡地の三種に區別せらる。武士町は藩士の屋敷にして、家祿に對してその坪數に略一定の制限あり。この屋敷は藩侯より直接下附せらるゝ所なるを以て、之を拜領地と稱し、世々子孫に傳へらる。平士以下なる與力及び歩士の階級に屬するものにありても、亦之に同じ。啻り足輕の邸地はその各組に對して與へらるゝものにして、之を組地と稱し、所屬の組員に分割せらる。故に大繩の稱あり。藩士にして家祿の特に巨大なるものには、下屋敷を與へられ、配下の陪臣をして居住せしむ。家中といふもの是なり。是等の家中又は組地は皆町名を有することなし。次に町地といふは商工の地域にして、本町地子町との別あり、町奉行管轄に屬す。町地の一種なる門前地は、寺社の所有地に町家を建築せしものにして、後に町奉行の裁許する所となりしも、初は寺社奉行に屬したりしなり。郡地は一に相對請地とも稱す。前田利常施治の時に至るまでは、郡地に町家を建つれば悉く之を地子町に編入したりしが、萬治元年利常の薨後、小松に在住したる諸士金澤に移住するに及び、人口頓に増加したりしかば、郡地のまゝ農民より借受けて家屋を構ふる町人多く、こゝに初めて相對請地の名を生ぜり。しかも當時は尚請地を設定すること頗る自由なりしが、寛文五年相對請地に住する町人を取締るの困難なる事情を村吏より訴へ、之を町奉行の支配に移さんことを請ひたるに、は之を許し、次いで翌六年八月、藩士の新たに百姓地を請けて菜園を營み又は工作することを得ずと規定し、若し已むを得ざるときは、組頭の副申を得て算用場に出願し、然る後百姓相對を以て請地すべしとの制限を置けり。然れども商工に至りては尚盛に郡地に向かひて發展せしを以て、貞享四年・享保十年・寳暦十年・文政四年等の調査によりその地域を市部に編入せしことあり。されば城下の殷盛日に加り、俳人櫻井梅室が郷に在らざること廿八年の後、天保五年江戸より歸りし時には、『ひと日吉郷の卯辰山にのぼりて金陵をのぞめば、佳氣城市にみち、人煙のにぎはひそのかみに倍せりとおぼえて、屋の棟にそうて殖(ウヱ)けり梅柳。』と記して感嘆したりき。
金澤町奉行支配 武家町名者無之
 泉     口
  野町一丁目より六丁目まで         泉   町  泉野新町   有 松 町  上芦中町
  下芦中町   本光寺町   三 七 町  林   町  三 俣 町  地黄煎町   沼 田 町
  泉野寺町   金 戸 町  三 間 道  小 柳 町
 石 坂・寺 町
  北石坂町   南石坂町   石坂新地   石坂川岸   針 屋 町  千 日 町  助九郎町
  元 哲 町  堀 込 町  石 伐 町  長 良 町  吹   上  十 一屋  上野田寺町
  下野田寺町
 犀川川上
  竪   町  河 原 町  龜 澤 町  新竪町一丁目より四丁目まで       小鳥屋小路
  丸 太 町  犀川荒町   鱗   町  百 姓 町  枝   町  犀川懸作町  同上川除町
  同中川除町  川上新町   同富山町   同松本町   同梅枝町   同場町   同竹島町
  同末吉町   同菊川町   同角場川岸  同壁屋町   同中野町   同平野町   藤   棚
  長 柄 町  石浦新町
 犀川橋より下口
  片   町  川 南 町  木 倉 町  大藪小路   五 枚 町  上傳馬町   下傳馬町
  横傳馬町   裏傳馬町   相 撲 町  十九間町   十三間町   大 工 町  北長門町
 南長門町   俵   町  土室小路   茶 木 町  犀川下川除町 法船寺町  廣 小 路
  富 本 町  高 儀 町  元   町  犀川馬場先  穴   町  元 車 町  神 谷 町
  大豆田町   藺 田 町  犀川馬場前  谷   町  淨住寺町   犀川新川除町 帶 刀 町
 小 立 野 口
  石 引 町  裏石引町   小立野新町  上 野 町  笠舞一番丁より三番丁まで
  笠舞新町   一 本 松  嫁 坂 町  中 坂 町  欠 原 町  新 坂 町  馬場新町
  百々女木町  裏百々女木町 菜 屋 谷  三 所 町  土取場一ノ小路より三ノ小路まで
  土取場長町  同城端町   同屏風小路  同撞木町   同間ノ小路  經王寺前   經王寺横町
  天 神 町  馬坂新町   金 浦 町  田町新道
 中     口
  石 浦 町  南   町  上 堤 町  下 堤 町  横 堤 町  御門前松原町 同 西 町
  青草河岸   上安江町   下安江町   横安江町   元乘善寺町  上近江町   下近江
  三 番 町  元光專寺町  十 間 町  山 崎 町  博 勞 町  下博勞町   袋   町
  桶   町  堀片原町   元常福寺町  上 今 町  下 今 町  中   町  新   町
  鍵   町  尾 張 町  橋 場 町  橋 爪 町
 淺野川川上口
  材木町一丁目より三丁目まで(上材木町)  材木町四丁目より七丁目まで(下材木町)  御小人町
  柹 木 町  田   町  同藪下  火 除 町  吹 屋 町  吹屋裏小路  山 伏 町
 川端町  淺野川上川除町  並 木 町  主 計 町
 卯辰・大衆免・淺野町
  木町一番丁より三番丁まで         觀 音 町  八 幡 町  觀音坂下   觀音下町
  四 軒 町  木 綿 町  元如來寺町  茶 屋 町  織 部 町  卯辰祇園前  西養寺町
  同一ノ小路より三ノ小路まで        卯辰西養寺前 同誓願寺前  金 屋 町  裏金屋町
  高 道 町  三屋 町   大衆免中通  同片原町   同 穴 町  同 西 町  同井波町
  同 横 町  同淨光寺前  同龜淵町   同 七 曲  同 立 町  平 折 町  上 牧 町
  中 牧 町  下 牧 町  立 川 町  淺 野 町  淺野吹屋町  若 松 町  水 車 町
  中 島 町  淺野川下川除町
 木新保・堀川
  荒   町  濱 田 町  厩   町  鹽 屋 町  清 水 町  西御坊町  鍛 冶 町
  久昌寺前  木新保倉町  同 竹 町  同 新 町  宗江寺町   豐 島 町  堀川淵上町
  同間町   同 笠 市  同知覺寺前  同龜淵町   同川除町   同七屋   勘解由町
  岩 根 町  古餌指町   本堀川町   新堀川町
 大  樋  口
  森下町一丁目より五丁目まで        春日町一丁目より五丁目まで        山上町
  大 樋 町  同七軒町   山 下 町  寳藏寺町   談議所町   森 山 町  上 田 町
 宮腰口・三社
 升   形  白  町  英   町  鍛冶片原町  專光寺前   南六牧町   北六牧町
  折 違 町  柳   町  田 丸 町  圖 書 町  白 髭 前  六 角 堂  島 田 町
  原   町  三 社 町  同五十人町  同堀徳寺前  同福富町   同 中 町  同 河 岸
  同 九 折  回垣根町   同山田町   中 島 町  光岸寺(高巖)前   廣 岡 町  中橋廣小路
  長 田 町  古   道  木 揚 場
〔金澤市中町名寄〕