石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第二章 加賀藩治創始期

第八節 社稷の危殆

蓋し前田氏這次の難局は、幕府が機に臨みて強大の外樣大名を倒壞せしめんとしたる高等政策の一發露にして、幕府の頗る利常を憚りたるは、微妙公夜話に岡田將監が『天下の者共、御前をばむづかしき人と可存候。公儀にも油斷のならぬ御人と御老中方も可存候。』といへるによりて知るべし。然りといへども大坂の役後、利常何の見る所ありて陰謀を企圖せんや。幕吏の他を強ふるも亦甚だしといふべきなり。而して是より後加賀藩は隱忍韜晦を以て終始一貫せる是となしたるが故に、提封を保全するに於いては成功せりといへども、清新潑刺の風は漸く見るべからざるに至れり。