石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第二章 加賀藩治創始期

第八節 社稷の危殆

六年正月秀忠諸侯に課して大阪城修築せしめしを以て、利常本多政重横山長知二人をしてその役を督せしめき。既にして工竣るや幕吏之を檢して、前田氏の築く所石壁に凹所あるを理由として改め作らしめんとせり。長知乃ち幕吏に謂つて曰く、今諸侯の工人皆役を畢へて歸らんとし、而して我獨留るはこれ寡君に耻辱を與ふるなり。請ふ我等二人、先づ屠腹して不敏を謝せんと。幕吏爲に之に強ふる能はざりき。後利常之を聞きて長知の果敢を賞せり。