十八年
利常は
家康を見んが爲に
駿府に赴き、五月二十日登城して白
銀五百枚・綿五百把・
絹二百疋を上り、隨從の士
横山長知・奧村榮明・
奧村榮頼も亦各物を献じて拜謁せり。尋いで二十二日
利常駿府を發して
江戸に至る。その行裝甚だ盛にして、道途臣僚僕隸を以て充滿し、偶東下の途に在りし義演准后がその行を遮られて大に苦しみたることは、義演准后日記に載せられたり。
利常が
秀忠に謁したる状の果して如何なりしかは今之を詳かにせずといへども、必ずや舅氏と佳壻との關係を一層親密ならしめしものあるべく、之によりて
利長も亦益〃心を安んぜしなるべし。