石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第二章 加賀藩治創始期

第四節 大聖寺淺井畷二役

慶長五年正月、利長は別に使を江戸に發し、書を秀忠に送りて、去年以後の矛盾に就きて分疏し、秀忠も亦答書を與へて之を慰籍したりき。三月利長横山長知及び有賀直政を大阪に遣り、家康に謁して和親を締せしめ、遂に芳春院を徳川氏に質たらしめ、之に代ふるに秀忠の女を利長の弟利常の配として迎へ、以て二氏の親眤を繋がんことを約し、芳春院も亦家門の存亡に關する大事なるが故に、敢へて關東に赴かんことを諾せり。是を以て五月二十日芳春院は村井長頼を從へて伏見を發し、六月六日江戸に入る。是より前田氏の死命全く徳川氏に制せらる。諸侯の妻子を證人として江戸に置くの例、亦是を以て權輿となす。