石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第二章 加賀藩治創始期

第三節 前田利家の晩年

信長・秀吉の生涯が、戰爭を以て始り、戰爭を以て終りたる如く、之に隨從せる利家も、亦同一の運命を免るゝ能はざりき。佐々成政秀吉に降を容れしとき、利家の齡正に四十八。曾て百戰の功を積みて沈勇の氣備り、今や世故に慣れて思慮の周密を加へ、之に加ふるに天稟の誠實厚愨を以てす。海内の諸將百を以て數ふべきも、友として頼むに足り、敵として恐るべきもの、誰か利家の右に出づるものあらんや。秀吉攻城野戰の事ある毎に、必ず利家を憑みてその隻腕とせしもの實に之に因るなり。