石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第二章 加賀藩治創始期

第二節 越中平定

是に於いて成政は、前田軍蓮沼襲撃に報いんと欲し、三月二十一日の夜、國境を超ゆること一里にして河北郡鷹巣に迫り、その民家を焚掠せり。利家報に接して直に金澤城を發せしが、事急にして左右これに隨ふもの僅かに六十餘人に過ぎず。往くこと三十餘町にして、將に黎明ならんとする比、前方遙かに金色打出小槌の馬標を望む。近づきて之を見れば、村井長頼百餘の兵を率ゐて先頭に進み、不破勝光・種村三郎四郎・片山延高等之に次げり。利家戲れて曰く、今日の軍、我自ら先登第一たらんと思へり。圖らざりき豎子の名をなさしめんとはと。乃ち勒を並べて鷹巣に至れば、成政の軍は既に退却したる後に在りしが、長頼・勝光等直に追跡して敵三十餘人を斫り、凱歌を奏して旋れり。