石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第二章 加賀藩治創始期

第二節 越中平定

こは老獪なる家康としては、頗る正直なる告白なりと言はざるべからず。若し夫れ成政にして何等か畫策する所あらば、我は一擧手一投足の勞を惜しまじといふに至りては、固より當面の外交的辭令たりしに過ぎざるなり。抑成政が焦眉の急とする所は、前田利家の地位を顚覆して、己起死回生の幸運を捕捉するに在り。而も家康にして既に秀吉と親善の關係を回復せし上は、秀吉の信頼する利家に對して、成政よしや『思ひ立つ事』ありとせんも、爭で家康の援助を求むることを得んや。特に知らず、彼れ果して眞に『忝と謝し奉』りしや否やを。