石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第二章 加賀藩治創始期

第二節 越中平定

末森の役以後に在りては、大風一過して波濤忽ち靜かなる能はざるが如く、加賀越中二國の境界線に於いて、常に前田・佐々二氏の爭鬪を絶つことなかりき。天正十二年十月十四日利家は、曩に成政の爲に奪掠せられたる鳥越城を回復せんと欲して兵を出しゝが、鳥越が山中の險難にして、之を力攻すること甚だ困難なるを以て、自らその勢力の弱小なるを示して敵を城外に誘致し、彼等の退却せんとするに乘じ、付入にして之を陷落せしめんと謀れり。然るに城内には、最も軍事に長けたる久世但馬守等の在るありて、固く士卒を警め輕進するを許さゞりしかば、利家の策終に行はれず、僅かに城外の民屋に火を放ちて金澤に納馬せり。