石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第二章 加賀藩治創始期

第一節 末森の戰

初め利家成政來襲の報に接するや、直に徳丸城の長連龍七尾城の前田安勝以下に檄し、以て末森に救援せしめき。諸將乃ち相會して軍議せしに、利家にして假令金澤より出馬するも、成政の軍は之を途上に妨げて目的を達せざらしむべく、之に加ふるに末森城陷落したる流聞あるを以て、進撃の遂に徒勞に屬すべきを論ずるものあり、爲に逡巡して決する所なかりき。獨り連龍は、成敗の如何に拘らず、利家の命のまゝに從ふべしどなし、手兵を率ゐて白子濱に至りしに、戰鬪の已に終れる後なりしも、利家は脇田善左衞門・野村七兵衞二人を遣はして之を迎へしめ、彼が他の諸將の意に反し來り會せる勇を賞して、『拔群之志無比類』といへり。而も連龍は出師の機を失へるを愧ぢ、刀を拔きて自らその髻を絶ちたりき。