石川県立図書館/大型絵図・石川県史

石川県史 第二編

第一章 領主及び領土

村上義明小松に在りたること、前後十八年の久しきに亙りたるを以て、民政上多少の力を致しゝことあるべきも、今全くその跡を探ること能はず。唯纔かに天正十九年能美郡長田村に與へたる檢地帳と、一は某年湊浦に與へて米穀輸入禁止せる通牒と二通の文書を遺されたるのみ。米穀輸入の制止は、即ち領内に於ける求價の低落を豫防し、給人の生活を安定ならしめんとの政策に外ならず。而して是等の文書は、皆その名を周防守頼勝と署し、義明といへるものあるを見ず。蓋し翰譜等に之を義明に作りたるは、頼勝の後の諱なるが如し。

 我等領内え、他所より米出人堅相留候。萬一かくし米入候者、聞付次第、類親ニ相懸、可成敗候條、成其意べく候。恐々謹書。
                           周 防 守
    正月廿五日                   頼   勝 在判
     湊    浦
〔能美郡湊村熊田氏文書〕

村上頼勝下知状 能美郡熊田源太郎氏藏