射水市新湊博物館/高樹文庫「石黒信由関係資料」

石黒信由関係資料

1「高樹文庫」のあらまし

 信由は、極めて精度の高い測量を行いましたが、それを実現するには、正確に方位と距離を測定できる器具が必要でした。
 信由は、測量器具を工夫改良し、器具の精度の向上を図りました。
 
① 方位を測る器具
 特に、方位を測る磁石類の改良に注力しています。
 まず、磁石盤の方位の目盛を360度目盛に切り替えました。それまでの磁石盤は、120度目盛または240度目盛で記されていましたが、360度にすることにより、読み取りの精度が向上するばかりでなく、三角関数表を用いた計算が容易になりました。
 また、磁石と目盛を従来のものより大きくし、小さい磁石を横に並置して、素早く正確に測量できるように工夫しました。磁石を大きくしたことにより、目分量ですが0.1度の単位まで読み取りやすくなりました。
 磁石を載せる下盆の持ち手には、上部と両側に細いすき間を設けました。上部のすき間は、真上から磁石を読めるようにするためで、両側のすき間からは目標物を見通します。
 また、磁石盤は、水平に設置しなければ正確に測量することができませんが、傾斜地では、磁石盤を載せる磁石台そのものが傾いてしまいます。
 信由は、傾斜地にあっても磁石台の台座が水平を保てる強盗式に改良し、磁石盤を素早く水平に据えることに成功しました。
 強盗式は、地球の重力を利用して水平を保持する機構で、信由は伊能忠敬の彎窠羅鍼(わんからしん)にヒントを得ました。
 
② 距離を測る器具
 距離を測るには、麻に渋や蝋をひいて伸び縮みを少なくしたニ十間縄を用いました。
 加越能三州の測量では、伊能忠敬の鉄鎖にヒントを得て、鎖縄を用いました。鉄でできているため、温度や湿度が変わっても伸び縮みしないのが特徴です。
 
③ 勾配・高低差を測る器具
 正確な絵図を作製するためには、水平距離で描画する必要があります。坂道で実測した距離は斜距離となるため、信由は象限儀や勾配板を使って坂の勾配を測り、そして水平距離を計算しました。
 また、用水や運河の計画では、正確に高低差を測ることが求められました。高低差を測るには、方位を測るよりも厳密に水平を保たなければなりません。信由は、水台・水木という道具を使って高低差を測りました。
 水台・水木は、文字どおり水を使用します。水木の中の溝に水を張り、両端に刃圭を浮かべます。水木が傾いていても水面は水平となり、2つの刃圭の針から目当てを見通して測りました。
 これらの測量器具類についても、高精細画像でご紹介しています。